まっちゃんの映画感想ブログ

”まっちゃん”こと20歳♂が、観た映画の感想を自由気ままに書き連ねる場所。

『砕け散るところを見せてあげる』ネタバレ感想 〜新感覚なエンターテインメント〜

©︎2020 映画「砕け散るところを見せてあげる」製作委員会

 

怒涛の清原果耶さん出演映画3作目です。今回は「砕け散るところを見せてあげる」をご紹介します。観終わってから気づきましたが、割と最近公開された作品なんですね。

今回もなるべく感じたままに綴りたいと思います。温かい目で読んでもらえたら嬉しいです。何卒何卒。

 

※この記事は軽いネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。

 

物語の展開含め、俳優さんの演技含め、全てに圧倒されっぱなしの作品でした。

前半から中盤にかけては思っていたよりも青春ラブストーリー感全開で、ほっこりするシーンも多かったように思います。

だけどそれと同時に緊張の糸が張り巡らされていて、常に「何か起きるんじゃないか?」と観客の不安を煽る演出が施されていました。

ラブストーリーでありながらサスペンスでもある。

二つの要素が同時並行で進んでいくトリッキーな作品でした。

 

この作品の素晴らしいところは、観客の緊張の糸を張ったり緩めたりする展開にあると思います。

清澄の家で、清澄の母(矢田亜希子)と玻璃の三人で穏やかに会話するシーンから、玻璃を家まで送る途中に玻璃の父(堤真一)に遭遇して、清澄の母と玻璃の父の会話のシーンに移るところは特に印象的でした。

観客の張り詰めていた糸を、一度緩めて安心させたと思いきやまた急激に張り直すことで、その前に感じていた不安をより大きなものにする効果を生んでいると思いました。

これを繰り返すことで、観客は翻弄されながらも物語の中にのめり込んでいき、続きを観たくなってしまうのだと思います。

 

個人的には壮大な愛の物語と謳っているほど、伝えたいことがはっきりと見えてこなかったように感じました。怪奇的なシーンの印象が強かったり、”UFO”や”銀河”といった非現実的な描写を持ってきてしまった点が影響しているのではないかと思います。最後の濱田清澄(中川大志)の語りもなんだかぼやけてしまっていたように感じます。

登場人物それぞれの会話のテンポ感の違いだったり独特な空気感は、豪華俳優陣の演技力によって美しいまでに作り出されていたし、それを引き出す脚本・演出も素晴らしかっただけに、最後まで統一感のある作品に仕上がっていれば文句なしだったなと思いました。

監督さんも原作を書かれた小説家さんも、個性のある作品を生み出される方なので、そういった面ではとても興味深かったし、もっといろんな作品を見てみたいと思いました。

 

ここからは俳優さんたちの演技について、語彙力少なめでお送りします。

まず主演のお二人ですが、ただただ素晴らしかったです。

中川大志さんのナチュラルな役の演技が好きです。とにかくイケメンなのでモテ男的な役ももちろんハマるけど、彼の演技力を引き出せるという面では、こういう役の方が合ってるのかなと思いました。この作品は特に、コメディからホラー?(笑)まで振り幅のある役で、彼のオールラウンダーぶりが発揮されていたと思います。

石井杏奈さんの演技には本当に驚かされました。失礼を承知で言わせてもらいますと、正直ここまでの女優さんだったとは思いませんでした。E-girlsの元メンバーで素晴らしいダンサーさんだとは知っていましたが、女優業をされているのは土屋太鳳さん主演のドラマ『チア☆ダン』くらいでしか拝見していなかったので、今回の《怪奇的+純粋》な難しい役柄を見事に演じられてる姿に衝撃を受けました。

23歳で同い年のお二人。間違いなくこれからの映画界を背負って立つ役者さんです。

 

皆さん一人一人の演技について語り尽くしたいのは山々ですが、終わりが見えないので個人的に好きな俳優さんをピックアップしてお話しします。

このブログの最初の記事で書いてる『望み』という作品で共演された、堤真一さんと清原果耶さんが今作品で出演されていたのは、個人的に激アツでした。

実際に物語の中で共演するシーンはなかったですが、お二人がそれぞれの登場シーンで爪痕を残したことは間違いなかったと思います。

堤さんと矢田亜希子さんの掛け合いのシーンは純粋にめちゃくちゃ怖かったです。清澄の母が玻璃の父を詮索する様子は、それを感じさせないくらい怪奇的な人物像が出来上がっていました。また、それに対する堤さんの演技が凄まじくて...。この後に起こる悲劇を感じさせる、もはや悲劇しか感じさせない演技だったと思います(笑)。堤さんは、最近まで出演されていた大河ドラマ『青天を衝け』で演じた人柄の良いお武家様のイメージが強かったので、こういう役は新鮮で圧倒されました。このシーンはまさに役者の真髄を見せつけられた瞬間でした。

清原果耶さんの演技は、新しい作品を観るたびに感心してしまいます。今回の役も、一見明るい普通の女の子だけど、実は正義感がとても強くてぶっ飛んだ面もある、清原さんの魅力を存分に引き出せる幅の利かせた役だったと思います。僕的に清原さんの魅力って”泣きの演技”にあると思っていて、それを引き立てるための緩急が素晴らしいなと思います。19歳にしてここまで堂々とした演技をされているなんて、年下とは思えない...。尊敬です。

 

なんだかんだ書き始めたら止まらなくて、いつもより長めになってしまいました。

最初に書いたように、ラブストーリーでありながらサスペンスでもある。観る人によってまた違ったジャンルに捉えられるような新感覚なエンターテインメントになってると思います。

NETFLIXなら見放題で配信中なので、ぜひ一度見ていただきたいです。